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Channel: 橋本リウ詩集
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「真田丸」 第1回 NHK 「真田モノ」 の遺伝子

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 今年51歳になるハシモトのテレビ鑑賞史のなかで(オーゲサ)、戦国武将の真田家との付き合いはいずれもNHK絡みになります。 まずはその、オッサンの長~い昔話を本年の大河ドラマの1発目にしていこうと思う。

 ハシモトが真田幸村と最初に出会ったのは、NHK人形劇の傑作 「新八犬伝」 の後番組として放送された 「真田十勇士」(1975-77年)。
 「新八犬伝」 は今は亡き坂本九サンが黒子として番組進行役を務め、玉梓が怨霊などのキャラも立っていた超面白い人形劇でしたが、そのあとを受けた 「真田十勇士」 はそれに比べるとかなり地味めな渋い人形劇だった覚えがあります。 私も途中まではフォローしていたんですが、なんか最後まで見た、という記憶がない。
 ただ覚えているのは、徳川家康がスゲエ悪者で(笑)そのワルモノにいいように滅びの道を余儀なくされる豊臣方に、ものすごい感情移入した、ということ。
 原作の柴田錬三郎サンの本も買いましたよ。 確かNHK出版ではなかったかと(うろ覚え)。 人形担当の辻村ジュサブロー氏が本の挿絵も描いておりましてですね。 その絵が、巻を追うごとにヘタクソになっていく(笑)のと話への情熱が醒めていくのとが同時だった気がする(笑)。 5巻くらいまでは買ってたかな~。

 その 「真田十勇士」。 基本的な主人公は幸村に仕える忍者の猿飛佐助だったと思うのですが、この造形がですね、今で言うとAAAのなんとかゆう人みたいな(誰だっての)、とてもかっこよくて。
 今回の 「真田丸」 にも、「佐助」 というのが出てましたね。 藤井隆サン。 これは幸村の父である昌幸に仕えている、という設定のようですが、「真田十勇士」 では確か、武田勝頼の隠し子だったような?(シーマセン、よく覚えていない)

 でもそういう設定だったせいか、「真田十勇士」 では物語の発端が、武田勝頼の最期だった。 戦国武将の雄、武田家の滅亡を物語の最初に据えている、という点で、今回の 「真田丸」 はその遺伝子を受け継いでいる。
 つまり主役の幸村(ここでは本来の呼び名である信繁)が堺雅人サンで最初から出てくるんですよ。 子役を使ったりしない。 ここはちょっと意外でしたが、しかし物語を第1回から全開で正々堂々と突っ走ろう、とする脚本の三谷サンの意気込みが感じられて好印象でした。

 その潔さはオープニングタイトルにも如実に表れていた気がします。 ここ数作の大河ドラマではもう恒例となって、「もうネタ切れなんじゃないか」 と思われていたCGを、最小限に抑えた実写に頼った作り。 まさに正面突破。

 そして第1回で滅びの道に迷いこむ武田勝頼を、平岳大サンが演じる、というのも、NHK大河を見続けてきた者にとっては感慨を禁じ得ません。
 平岳大サンは名優・平幹二朗サンの御子息でいらっしゃるのですが、平幹サンと言えば1988年の大河 「武田信玄」 で、信玄の父親である信虎を演じた経緯がある。 この信虎、もう狂気の乱れ打ちで、冷静沈着な息子晴信(のちの信玄)役の中井貴一サンととても対照的な、記憶に残る役だった。
 それを一代置いて、平岳大サンですからね。 これは意図的なキャスティングなのかな?

 意図的である、と言えば、もっとも分かりやすいのが、今回幸村の父親昌幸を演じる草刈正雄サン。 草刈サンは番宣でさんざん紹介されていたように、大河ドラマではないがそれに准じた時代劇としてNHKがかつて放送していた水曜時代劇 「真田太平記」(1985-86年)で、真田幸村を演じていました。
 「真田太平記」 には、ハマりましたよ私、当時。

 この 「真田太平記」 の前は 「宮本武蔵」。 役所広司サンが武蔵役で、お通が古手川祐子サン。 これもすごい傑作でした~。 本チャンの大河でいまの市川海老蔵サンがやった 「武蔵MUSASHI」 などとは比べ物にならないほど面白かった~。 吉川英治の原作も、貪るように読みましたよ。 止まんないんだ、面白くて(笑)。
 で、「真田太平記」 の後番組が 「武蔵坊弁慶」 で(あ~止まらない)、弁慶を中村吉右衛門サンがやって。 これも後発の大河ドラマ 「義経」 なんかより数倍面白かった~(笑)。
 つまりNHK水曜時代劇は傑作揃いだったんですよ当時。 大河が迷走していた時期だったからかな~。

 31年前に幸村を演じていた草刈サンが、その31年前に丹波哲郎サンが演じていた、父昌幸を演じる。 これほどのリスペクトがございましょうか。
 丹波サンの昌幸は実にうまくて、のらりくらりと一筋縄ではいかないクセ者を見事に演じておりました。 今回、その遺伝子は草刈サンにも流れていて(まあ同じ人物だから同じにはなるんでしょうけど)「武田は滅びる!」 と息子たちに言っていた舌の根も乾かぬうちに武田の軍議では 「武田は盤石です!」(笑)。 草刈サンも、「美の壺」 で肩の力を抜いたご主人をなさってますから、その 「いい加減さ」 がうまく今回のキャラにも作用している、と言えましょう。

 ただまあ、昔は私も、「草刈サンの演技はどお~もクセがある」 と、あまりいい評価はしてなかったんですけどね。 でもなんか、どこか憎めない演技をする人でした。 歳を重ねて、これが名優と呼ばれる境地に達しつつある、というのはすごいことです。

 そして 「真田太平記」 では渡瀬恒彦サンが演じていた幸村の兄・信之。 これを今回、大泉洋サンが演じるのですが、「まれ」 のお父さん役であるとか、今まで軽い役どころが多かったのに、大丈夫なのかな?というのが最初の感想でした。 なにしろこの信之は、徳川方に人質に出されて関が原では東軍、豊臣滅亡後は幸村のせいで(笑)かなり苦境に立たされる人物(真田に関しては結構詳しいぞ…笑)。 だけど 「真田丸」 は幸村が死んで終わるみたいだからい~のか?(笑)。 ただ初回を見た限りでは、大泉サンの真面目なキャラがよく出ていた気がします。

 そして、脚本の三谷幸喜サン。

 「富士山や浅間山が噴火でもしない限り武田は安泰」 としゃべった直後に浅間山を噴火させてボー然(笑)みたいな、コメディの片鱗は垣間見えたのですが、どうも率直に申し上げて、この人、「ピークは過ぎたんじゃないか?」 と思ったりしてるんですよね。 こないだ映画の 「清須会議」 がテレビでやってたので見たんですが、つまんなくて15分でリタイアしちゃったし。
 初回の感想も、私自身の思い入れを別とすれば、「武田勝頼の悲哀はとてもよく表現されていた、だけど主役はあれでい~のか?」 みたいな感じで(笑)。

 まあ、幸村もとい信繁も、最初はオチャラケているけどそのうちにすごい人物になっていくんだろうなー、ということで。今後に期待…。


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