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Channel: 橋本リウ詩集
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「表参道高校合唱部!」 第1回 いじめる側の汚れた心、それに立ち向かう澄んだ歌声

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 いきなり告白から始めますが、私中学校のときに、臨時で合唱部に入っていたことがございまして。 合唱コンクールに出るのにメンツが足りなくて半分帰宅部が駆り出された(笑)。 けれどももともと遊び半分でやってた元の部活のほうが何やってたんだか今思い出せないのに、合唱部のことは未だによぉ~く覚えてる。 NHKの合唱コンクールとか、いまだにやってるのをたまたま見ればずーと見ちゃうし。

 で、今回の合唱部のドラマもしぜんと目が行っちゃうわけですが。 キャストの中に最近までさだまさしサンと一緒の高校に行っていた(笑)森川葵チャンがいたのも見る動機のひとつ。 なんかこのコ、飛び抜けた美人じゃないけど、印象に残ったんだよなー。 あ、そのドラマ 「ちゃんぽん食べたか」 では、すでに彼女は退学しています。

 で。

 結論から申し上げます。
 いまのところ、今年の夏ドラマの中で、なんだかんだの神田沙也加で(笑)いちばん心を揺さぶられたドラマだった。
 ついでにその神田沙也加チャンもドラマに出てるのだが(チャンという歳でもないか)、いちばん合唱に近いはずの彼女がいちばんそれを邪魔するような立場にいる、という設定も興味ひかれる。

 ネット批評ではあのドラマに似ている、あの映画のパクリだとか、ネガティヴな意見も散見されるけれども、そのどれも見てないので(「グリー」 は第1回だけ見たけど、どうも好きになれなくてリタイア)まあ自分にとってみたらラッキーだった、というか。

 話はそれますが、この、いろんなドラマや映画を見倒している、というのも良し悪しでしてね。 あれに似ている、などと考え出すと、途端に興醒めしたりするけれども、無知であることが逆に感動に正直につながっていく、そんなケースもままある、と思うんですよ。
 例えは違うけれども、昔の歌謡曲って、外国の曲のパクリが結構多かった。 でもそれはそれで、知らないで感動していたっていう記憶は、大事にしていきたい。 オリジナルをたどることも重要ですけど。

 で、ドラマの内容ですが、香川県から東京の表参道高校に転入してきたヒロインが廃部寸前の合唱部を立て直す、というお話であります。
 この主人公を演じる芳根京子チャン。
 私まったく記憶になかったのですが(笑)、どうやら 「花子とアン」 で仲間由紀恵サンの子供役をやってたり、こないだ始まった 「探偵の探偵」 で冒頭いきなりストーカーに殺されてしまう北川景子サンの妹をやってたりしたらしい。 ただそれなりに端役では出ていたものの、主人公としては初の抜擢。
 で、まあその知名度からいうと朝ドラのオーディションで合格した、というレベルの、強引に言えば 「無名の新人」 です。 こういうのはフレッシュでよろしいです。 ほかにもTBSの宣伝文句によると、次世代の若手俳優が多数出演、とのことです。

 さらに中身に対して言及していきます。

 冒頭、香川県を離れていくヒロインに、ヒロインの所属していた合唱部の 「涙そうそう」 が別れの曲として歌われます。 その澄んだ歌声に、冒頭からオッサンはウルウルモード(笑)。
 しかし転校してきた早々、ヒロインは廃部寸前の合唱部と、陰湿ないじめに直面することになる。 済んだ歌声に癒されていたオッサンは、その極端な描き方に、ちょっと見るのをやめようかな、とまで考えてしまいました。

 このいじめの描き方。
 階級制とかKYとか、まあ、正直言ってよくあるパターンではある。

 しかしいくらパターン化していても、やはり人がいじめられるのを見るのはイヤなものです。 私が学校に通っていた頃って、ドン臭いヤツとかナマイキなヤツに対する軽蔑はあったけれども、いじめそのものはなかったですから、理解できないんですよ(そー言えば先輩から、あいつはナマイキなヤツだって目をつけられてた…笑)。

 私がいじめられる立場にいたらどうしてたかな。 おそらく逆ギレしたと思います(笑)。 何かやられたら、犯人なんかを探すのはもどかしい。 教室内の全員に対して暴力振るったか、もしくは暴れまくっただろうな(血の気が多かったんですよ…笑)。 後先考えない無謀なヤツでしたから。 「アイツはナマイキなヤツ」 と認識されていながら、いじめが及ばなかったのは、おそらく些細な段階から、結構逆ギレしてたんでしょうね(え~、もう記憶がございません…笑)。

 その血が騒ぎ出すんでしょう、ドラマなんかでこういうパターン化されたいじめを見ると、いじめる側に対してものすごい殺意みたいなものを感じてしまう(ハハ、ハハ…)。

 いまその勢いでここに書いてしまいますが、いじめをする人間というのは、どんなに顔がキレイでも身なりが立派でも、その心は醜い。
 心が醜い人間は、どんな生物より下等である。
 心が醜い人間を、私は心の底から軽蔑し、最大限の言葉で唾棄してやる。

 人というのは、心のありようがすべてなんですよ。 そいつがどんなに人望が厚かろうが、チヤホヤされていようが、そいつは最低の人間以下のイキモノなのだ、と。

 それを今回のドラマで地を行ってるのが吉本実憂チャンなのですが、彼女が演じるタレント気取りのリーダー格の女生徒が、裏で手を回したりさまざまな汚いことをやっているのは、ドラマ的には私も感じた 「憤り」 のベクトルで見る側を引っ張っていく要因には、確かになっている。

 けれどもそれ以上に私を惹きつけるのは、いじめられる側であるヒロインの、心のありかたに対してなのです。

 彼女はテンパると 「10秒ジャンプ」 といってその場でジャンプし続ける(笑)。 (笑)、と書きましたが、やってることは突飛でも、ネガティヴな思いに煮詰まってきた頭の中の澱をふり払うには最適な行動らしい。
 そしてそれを伝授したおじいちゃん(平泉成サン)の言葉が、またふるっている。

 「ヘコんでる時間が、もったいねえもんな」。

 落ち込んだりしているヒマなんかない。
 つまり、これはいじめをするとかいじめられるとかの次元を乗り越えて行け、とするひとつの心のありかたに関する提起なのです。
 人をいじめるとか、そんなことに拘泥されることの、なんと愚かなことよ。 そんなヤツには、勝手にやらせておけばいい。

 そしてヒロイン、香川真琴(香川県から来た香川、だから覚えやすい…笑)の最大の武器は、合唱という、「自分のやりたいこと」 が明確に定まっている点です。 だから落ち込んでるヒマなんかない。 自分を強くするものは、なにかに向かって突き進もうとする、その何かを見つけられることなのだ。
 ヒロインの味方になってくれる男の子(志尊淳クン)も言っています。
 「みんな自分の好きなことなんてよく分かってねえから、オマエのことが羨ましいし悔しいんだ」。

 彼はトッキュウジャーだったらしいですが(笑)、どうも今回、不治の病にでもかかってるよーな? 番組HPを見ると、どういう経緯か分からないけれど、吉本実憂チャンも志尊淳クンも、合唱部に入部するらしい。

 そして活動を認めてもらうために実演をしようとする真琴たちなのですが、吉本実憂チャンの陰謀によって合唱部入りした森川葵チャンが直前逃亡。
 しかし土壇場で、真琴は森川葵チャン抜きで合唱を始める。 実は真琴が実演に選んだ歌は、ネットで森川葵チャンが覆面アイドルとして歌っていた曲なのです。 ここでドラマが、現実よりもバーチャルな世界のほうが居心地がいい、という現代的な問題にまで切り込んでいるのが興味深い。
 その歌声に惹かれるようにステージに上がっていく森川葵チャン。 実演は成功の裡に終わるのです。

 これらの葛藤の中で苦悶する森川葵チャン、「ちゃんぽん食べたか」 のときにはあまり感じなかったのですが、表現力がこれから成長していく可能性をとても感じました。

 そしてそれ以上に素晴らしいのは、ヒロイン真琴を演じる芳根京子チャン。
 とてもじゃないけど、主役として華がある、とは言えないフツーの女の子なんですが、真琴の生き方に引っ張られてどんどん輝いていく、そんな 「若さが持つ化学反応」 みたいなものを感じさせてくれる。

 あとは、この合唱部を落ちぶらせてしまった顧問の城田優サンの抱えている事情とかに焦点が当たっていくはずですが、いずれにしても合唱の持つ魅力がメインに据えられていることは強みです。

 それにしても、こうしたにわか仕立ての合唱部というのはですね、自分の経験上申しますが、まーずここまで素晴らしくはならないですよ、短期間で(笑)。
 私たちも貧弱なままで臨んだ合唱コンクールで、箸にも棒にも引っかからなかったもんな~(ハハ…)。


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